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松たか子の怪演に震える湊かなえ原作の邦画「告白」

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松たか子の怪演に震える湊かなえ原作の邦画「告白」

公開年2016年
監督中島哲也(なかじま てつや)
脚本中島哲也(なかじま てつや)
上映時間127分
原作小説「告白」湊かなえ

映画が始まって30分が松たか子の告白。

この映画は騒がしく治安の悪そうな教室に静かに響く森口 悠子(松 たか子)の声から始まります。
森口の語りとカットインされる事件の経緯や学校の日常。
松たか子の声と演技の組み合わせがとても良いので30分ほど語られる森口悠子の告白は、内容はえげつないのですがとても心地よく見れます。
冷たく落ち着いた声ですが、笑みも垣間見える。

森口が今月で教師を辞めると言う時にbgm消えるのと同時に教室内の生徒と視聴者が傾聴してしまう。
その後、命という文字を黒板に書く時のギーっという引っ掻き音で空気がまた不穏な方向へ。

森口は旦那がHIVに感染していたことを告げ、息を止める生徒に「空気感染はしない」わざと生徒の肩に手を置き「接触しても感染しない」とHIVに関する情報を教える。

死亡した娘の話をしている時に茶化すような態度の生徒がいても何も感じていない森口悠子には恐怖を感じます。
怖い顔をしてるわけでもなく、大きな声を出してるわけでもないのに冷たい声や表情で恐怖を感じさせる松たか子の演技が素晴らしいです。

「まなみはこのクラスの生徒に殺されたんです」

と告げる森口もまた、怒りを通り越して感情が無くなったようです。

実際にあった事件に酷似しているルナシー事件

ルナシー事件とは、この映画のキーとなる事件で事件名は犯人の少女がネット上で自分のことを「ルナシー」と名乗っていたことに由来します。
13歳の少女による一家毒殺事件で、犯人の少女は自分の家族の食事に青酸カリを混入して殺害しその様子を自身のブログで公開していました。

登場人物の1人である北原 美月(橋本 愛)は犯人の少女に心酔しており、
さらに森口の娘が死んだことに関わっていた渡辺 修哉(西井 幸人)も犯人の少女に影響を受けていました。

母親毒殺未遂事件

ルナシー事件の元ネタと思われるのが、2005年に静岡県で起こった母親毒殺未遂事件です。
犯人は当時16歳の女子高校生で、母親の食事に劇薬のタリウムを混入して母親が弱っていく様子をブログに記して公開していました。

逮捕された少女は静岡県屈指の進学校に通っており成績も優秀でした。
化学部に入っており、薬品に精通していました。
少し人見知りなところがあったようですが、友人もいて普通の生徒に見えていたようです。

彼女の部屋は30種類以上の薬品が並び、フラスコやビーカーなどが散乱していました。
床にはウサギの足が転がり、タンスには鳩の死骸、ホルマリン漬けのトカゲなどマッドサイエンティストのような部屋でした。

彼女が心酔していたイギリスの連続毒物殺人犯グレアム・ヤングの書籍もあり、彼女にかなりの影響を与えていたようでした。

毒物で家族に被害を与えること、少女であること、ブログで公開していたことなどルナシー事件と静岡県の母親毒殺未遂事件には多くの共通点があります。

岡田将生の演じたウェルテルと言うキャラクター

森口の代わりに担任となる教師。ニックネームはウェルテル。
良=Well(ウェル) 輝=テル、 二つ合わせてウェルテル。
ゲーテの「若きウェルテルの悩み」と言う著書がメタ的な名前の由来と思われ劇中でも触れられる。
著名人の自殺によって引き起こされる自殺の連鎖を指すウェルテル効果というのだが、死の連鎖も「告白」に織り込まれている。

森口の旦那である桜宮の熱狂的な信者で、彼に憧れて教師になった。
森口の事件を生徒たちが秘密にしていたため一切知らず、新学期以降欠席している直樹を心の病気だと思っている。

典型的な学園ドラマの熱血教師で、生徒を名前で呼び捨てにするなど森口とは対称的。
表面上取り繕っているが裏では生徒から馬鹿にされている。

ウェルテルが距離を縮めようと美月をミズホ(ミヅキのアホ)と由来を知らずに呼んだり、しつこく下村直樹を学校に来させようとしたり空回ってる姿がとても愚かに見えます。

そのウェルテルの行動や、楽しそうに渡辺修也をいじめるクラスメイトをそのように仕向けていたのは...。

不登校になった下村直樹への残酷な寄せ書き

ウェルテルの提案でクラス全員で不登校になった下村直樹のために書いた寄せ書き。
ポップな演出で寄せ書きが描かれた様子が映し出される。

下村家に飾られることになるのだが、途中で寄せ書きの秘密に気づく下村母は発狂することになります。
大文字になっているところだけ読むと「ひとごろししね」。

その後自暴自棄になり直樹をころして自分も死のうとするのだが、
下村母が「直樹を連れ一足先に...」と日記に書きながら声が流れ「天国へ行ってきます」を声なしで日記に書く演出がとても良かった。

森口悠子の狂気

森口のファミレスで美月に真相を告白する時が冒頭の告白よりも一層冷たい。
途中、ファミレス内の子供に向ける笑顔や声は今まで見たことないくらい優しく温かく対比が凄まじい。

美月に修也が事件を起こした動機を聞いて狂ったように大笑いする森口。
ファミレスを後にし1人になった森口は泣き崩れるが、「ばかばかしい」という言葉と同時に泣き止んで立ち上がる様子もとても怖い。

映画終盤で修也に「黙れ!」と言われた後の「ふっふっふっふ」と不気味に笑ったり

「パチンじゃなく、ドッカーンって!」と今までにない声量を出したり、

涙しながら「ここからあなたの更正の第一歩が始まるんです」と声をかけ修哉の更生を考えているそぶりを見せた後に「なーんてね」とうすら笑う。
「パチン」や「なーんてね」は修也が森口に対して言っていた言葉であったため、修也の精神にダメージを与える執念を感じさせます。

おまけ

まだ有名ではない頃の能年玲奈が一瞬出演してます。

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